(※ 注意: この授業は2001年に実施したもの)
音楽制作やDTMを行う上で扱うデータには、 MIDIデータと Audioデータがある。 どちらもデジタルデータではあるが、データとして記録している内容が全く異なるものなので、 その違いをしっかりと把握しておきたい。 MIDIデータ(デジタル)を元に、シンセサイザーで「音」を制御している状態から、 Audioデータ(デジタル)を元に、コンピュータで「音」を復元する状態へ ●MIDIデータとは何だったのか
●Audioデータとは何なのか
※PCM( Pulse Code Modulation ・ パルスコードモデュレーション) PCM は、標本化、量子化、符号化の3工程を 経ることによって、アナログ信号をデジタル信号に変換する方法の一つである。 CD, DAT, 又 現在のシンセサイザーの音源部など、 多くのデジタル・オーディオ機器や、音響機器がこのPCM方式を採用している。 今回のハードディスクレコーディングも、PCM方式で音声をデジタル化するもの。 各工程を詳しくみてみよう。 ▼標本化(サンプリング) 対象となるアナログの信号( 電圧の波形 )を、きめられたサンプリング周波数(Fs)でぶつ切りに切断( 離散化 )する工程。 切断された各部は、個別にサンプル( 標本 )として取り出すことができることで、この工程を 標本化(サンプリング)と呼ぶ。結局、標本化の際、無制限に細かく切断すれば、より詳細なデータを採集できるため 後の波形の再現性は高まるが、それは実際的ではないので、Fsの設定には「シャノンの標本化定理」が用いられている。 つまり、「標本化しようとする元のアナログ信号に含まれている最高周波数の、2倍以上の周波数で標本化すれば、 後のアナログ信号復元の際、波形が正確に再現される」という理論である。 要するに、人間の可聴帯域は、「 20Hz 〜 20kHz 」であることから、40kHzで標本化すれば良いことになる。 そのため、CDなどのシステムでは、多少余裕を見て、44.1kHzの周波数で標本化している。 ▼量子化 (クオンタイゼーション) 標本化で、一つ一つ切り出したサンプルの電圧を数値として測定する工程。 いわゆる、音声再生時の「ダイナミックレンジ」を決定づける工程である。 電圧の数値化の精度を表すのが、量子化ビット数で、これは16bitが一般的であり、CDにも用いられている。 16bitで表現できる数値の範囲は、2の16乗から65,536段階となる。しかし繊細である音の強さを わずか65,536段階に四捨五入するのであり、そこでのいい加減な"丸め"によりノイズが発生する。このノイズを量子化ノイズといい、 フィルターによってこれを除去している。 ▼符号化 ( コーディング ) 量子化によって測定された数値を、(一般的には)2進数化する工程。 |
ハードディスクレコーディングは、PCM方式を用いて、アナログ音声をデジタルデータ化し、 コンピュータ内のハードディスクドライブ( 磁気を帯びた鉄板 ) に記録するレコーディングである。 これにより、どのようなメリットがあるか見てみたい。 ●ハードディスクレコーディングのメリット
※AKAI S6000など、所謂「サンプラー」という機材は、ハードディスクにデータを記録するのではなく、 メモリー(RAM)にデータを記録するものである。 ハードディスクに比べ、アクセスが高速であることから、発音タイミング(データ読み出し)に遅れがない。 一方で記録できる容量が小さいため、短時間の音声しか扱えない。 |